視力

目のしくみ

 

▶︎仕組み

1.光を認識する

網膜にまで光が到達すると外に光があることを認識できる

※光を感じるだけでは「ものが見える」という状態にはなり

2.ピントを合わせる

外から入ってきた光がうまく眼の中で屈折して網膜上に一つの焦点をつくる、つまりピントが合った状態になっている必要があります。

 

対象物を見るとき、水晶体は厚みを変化させて、光の屈折率を変化させています。近くの対象物を見るとき水晶体は厚くなり、遠くの対象物を見るとき水晶体は薄くなります。

一方、水晶体の周囲には、水晶体の厚みを「調節」するはたらきを持った毛様体筋という筋肉が存在しています。毛様体筋は、外から入ってきた光が網膜上で1つの像を結ぶように、水晶体の厚みを「調節」する役割を担っています。

 

 

 

 

屈折異常

近視、乱視、遠視、

目の構造には個人差があり、眼の中でうまく光が屈折しないことで、網膜上に一つの焦点が形成されない眼もあります。このように、網膜上に一つの焦点が形成されない状態を、「屈折異常」といいます。

見ようとするものにピントが合うには、下図(図A)のように、角膜と水晶体で屈折した光が網膜上で一つの焦点を形成しなくてはなりません。このように、遠くにあるものにきちんとピントが合った状態のことを「正視」といいます。

▶︎近視

人によっては眼球の長さが長いために

網膜より手前で焦点を結んでいる状態

ピントの合う位置が水晶体に近い(網膜から遠い)ほど、「強い」近視といわれます。

 

そのため、近くの対象物にはピントが合いやすくはっきりと見えますが、遠くの対象物はぼやけて見えます。

 

眼球の長さを表す「眼軸」の長さが正常よりも長いことや、水晶体や角膜の屈折力が強いことが原因です。

 

▶︎遠視

目にあまり奥行きがない人の場合

網膜より後ろで焦点を結んでいる状態

 

ピント調節を一切しないため、はっきりと見えるものは何もありません。

そのため、近くを見るときも遠くを見るときも、常にピント調節が必要です。

 

何を見るにも常にピントを合わせなくてはならず目に負担をかけてしまうため、疲れやすい目といえます。

 

▶︎乱視

眼の中で焦点が一つにならない状態

 

調節異常

 

目の構造に問題があるのではなく、水晶体の厚さをうまく調節できないために、ピントが合いにくい状態になることがあります。この状態を「調節異常」といい、代表的なものがいわゆる「老眼(老視)」です

 

▶︎老眼

加齢に伴いこの水晶体の弾力性は徐々に失われて硬くなっていきます。そのため近くを見るときに必要な水晶体の調節ができず、近くの対象物にピントが合いにくくなってしまうのです。

 

 

 

 

 

 

 

また。最近では、30代以下の若い人や子供のなかにも、「スマホを長時間見た後に遠くを見るとぼやけて見える」といった老眼に似た症状に悩む人が増えています。これは、スマートフォンなどの長時間使用が原因で起こる、いわゆる「スマホ老眼」です(「リモート老眼」と呼ばれることもあります)。「スマホ老眼」では、スマホやパソコンなどの画面を近距離で長時間見続けることで目の筋肉が凝り固まり、ピント調節がうまくできなくなるために起こります。この症状は、医学的には「調節緊張症」と呼ばれており、スマホ以外にも近距離で何かを見続けたとき(例えば、悪い姿勢での読書など)に起こりやすいとされています。

 

最近では、ITの進歩に伴って、仕事やプライベートでパソコンやスマートフォンなどを使う機会が多くなってきました。しかし、あまりにも長時間にわたって作業をすると、目だけでなく、身体のさまざまな部分に不調をきたし、さらには精神面にまで影響が及んでしまうこともあります。このような症状が現れてしまった状態をVDT(Visual Display Terminals)症候群といいます。VDTとは、パソコンやスマホのディスプレイ(画面)のことです。
VDT症候群の具体的な症状は、目の疲れ(眼精疲労)や痛み、かすみ、充血、視力低下、ドライアイなどです。目以外にも、首・肩のこりや頭痛が現れることがあるほか、イライラを感じることもあります。VDTを使った作業時間が長くなるほど、目に関する症状が多くなる傾向にあるとされています。
これらの症状が起こる原因は、ディスプレイを見る際にまばたきが減ること、視線が上向きになること、さらに視線をさまざまな方向に動かすこと、などにあると考えられています。このような状態で目を長時間酷使することで、涙が蒸発して目が乾燥しやすくなるとともに、疲れが溜まって、さまざまな症状が生じるのです。