糖質

▶︎糖質とは

エネルギー源となる栄養素

 

糖質、糖類、糖分の違い

 

 

▶︎糖質の種類

多糖類、でんぷん、オリゴ糖など

二糖類、砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖など

単糖類、ブドウ糖や果糖など

※単糖類まで分割され、エネルギー源として利用されらひ

 

糖類と糖アルコールにも分類が可能です。
糖アルコールは体内で消化吸収されにくく食品加工に優れた性質があるため、甘味のあるキシリトールやパルスイートなどは低カロリー甘味料として使われています。

 

▶︎糖類

多糖類には、でんぷんなど甘くないものも含まれるため

二糖類と単糖類を合わせと糖類としてくくられている。

二糖類は、糖類同士が結合したもの

単糖類は、糖類同士が結合していないもの

 

ブドウ糖グルコース

天然に多く存在し、摂取してすぐにエネルギーに変わる
果糖(フルクトース)

果物に含まれており、低温のときにより強く甘さを感じる
砂糖(スクロース

料理やお菓子に使われグルコースとフルクトースの化合物です

乳糖(ラクトース

乳の成分に含まれ、グルコースガラクトースの化合物です
麦芽糖(マルトース)

水あめの主原料であり、グルトースが2つ結合したもの


※糖類の多くは食後に血糖値が上がりやすい

 

 

 

 

 

 

▶︎炭水化物

炭水化物の中には消化されやすい糖質と消化されにくい食物繊維があります。

炭水化物=食物繊維+糖質

食物繊維は人間の消化酵素で分解できないたエネルギー源にならない
しかし、血糖や血液中のコレステロール濃度の上昇を抑える働きや便秘の予防を始めとする整腸効果などがある

 

▶︎過剰

糖質を摂取すると、消化吸収されてブドウ糖に分解され、血管に入って血液を通して全身に運ばれてエネルギーになります。
糖質を摂りすぎると過剰なブドウ糖は肝臓に取り込まれますが、余ったブドウ糖が多すぎる場合はこの仕組みが追いつきません。
その結果、血液中のブドウ糖の濃度が異常に高くなる、血糖値が高い状態になってしまいます。

血糖値が高くなると、普通なら膵臓からインスリンが分泌されて数時間で元の血糖値に戻りますが、糖質を摂りすぎるとその機能がうまく働かなくなるのです。
その結果、糖尿病や動脈硬化心筋梗塞脳梗塞など生活習慣病の原因となる可能性があります。
また、糖質の摂りすぎにより余ったブドウ糖は脂肪として蓄えられてしまうため、肥満の原因にもなるのです。

▶︎不足

人がエネルギーとして使える栄養素には炭水化物、タンパク質、脂質があり、その中ですぐにエネルギーになるのがブドウ糖です。
糖質は、グリコーゲンとして肝臓や筋肉の中に蓄えられていますが、その量はあまり多くありません。
余分なエネルギーの多くは脂肪として蓄えられています。

ブドウ糖をエネルギーとして使うと、肝臓の中にあるグリコーゲンを分解しますが、それも不足してしまうとエネルギー不足になってしまうのです。
その結果、頭痛やめまい、疲れやすいなどの症状が出てきます。

また、脳はブドウ糖が唯一のエネルギー源であるため、不足すると判断力が鈍ったり注意力が散漫になったりするのです。
さらに、糖質が不足したことでタンパク質がエネルギー源として使われると筋肉量の減少につながり、基礎代謝が低下する可能性があります。

 

▶︎. 正しい糖質のとり方・血糖値を上げない食べ方

糖質の吸収を穏やかにするものには水溶性食物繊維があります。
糖質と一緒に水溶性食物繊維を摂取すると、糖質を少しずつエネルギー源として使うことができ、血糖値の急激な上昇を抑えることが可能です。

また、同じものを食べるのでも順番を変えるだけで消化吸収速度は違います。
主食のみの単品メニューを満腹になるまで好きなだけ食べていると、内臓脂肪がつきやすくなってしまうのです。

卵や大豆製品などのたんぱく質や脂質を糖質と一緒に摂ることで、消化吸収を緩やかにできます。
たんぱく質や脂質など、おかずを先に食べて、糖質は後から食べるようにしましょう。

さらに、酢に含まれている酢酸には血糖値の上昇を抑える働きがあるため、酢の物などおかずに酢を取り入れるのもおすすめです。
この他、糖質を冷ますと食物繊維と同じような働きをする「レジスタントスターチ」という糖質に変化し、血糖値を上げにくくなります。

 

GIは食品に含まれている糖質の吸収度合いを表しており、摂取後2時間までの血液中の糖濃度を計測したものです。

オーストラリアのシドニー大学の研究チームによると、グルコースを100とした場合にGIが70以上のものを高GI食品、56~69のものを中GI食品、55以下のものを低GI食品と定義しています。
GIの高い食品を摂取すると食後血糖値が急激に上がり、GIの低い食品を摂取すると食後血糖値の急激な上昇を抑えられるのです。

高GI食品には白米、白パン、マッシュポテトなどがあり、低GI食品にはグレープフルーツやゆで大豆などがあります。
血糖値の急激な上昇を避けるためには、低GI食品を食事に取り入れることがポイントです。

 

 

 

【はじめに】
摂取した糖質は、腸管から吸収され門脈を経てまず肝臓、
そして全身へと送られ各組織のエネルギー源として使う。
また、余剰分は肝臓と筋肉にグリコーゲンとして貯える。

 

▶︎肝臓のグリコーゲン

1.血糖を一定に保ちながら、体内のあらゆる組織に糖を供給する。

例えば、成人の脳は1日約120gものブドウ糖を消費するため、
空腹時には肝臓のグリコーゲンからブドウ糖が供給される。
肝臓からの供給は5~6時間ぐらいしか維持できないため、
この計算によると1日3食を摂ることが理にかなっている。

2.肝臓自身の機能を、維持する生理的役割を果たしている。


▶︎筋肉のグリコーゲン

血糖維持には寄与せず、主に筋線維の活動機能に利用される。

 

このことから、肝臓や筋肉のグリコーゲンを維持が必要だが

いつ、どのような糖質を摂ることが生理的に最も有効なのか

 

▶︎砂糖

過剰摂取で肥満や虫歯になりやすく健康に悪いイメージが強い

そのため、エネルギーの低い人口甘味料に移行する傾向がある。

 

しかし、砂糖は古くから調味料として広く利用されており

摂取する量とタイミングを工夫することで、肝臓や筋肉の機能に良い効果をもたらすと考えられる。

 

肝臓では摂取する糖質の種類によりグリコーゲン合成能が異なり、特に砂糖による著しい合成増加が認められた

 

【肝臓および筋肉グリコーゲンの日内リズムと摂食】

生活環境の変化に適応するために生体リズムが備わっており

自律神経や内分泌などの生体調節システムで生命活動を営む

 

▶︎日内リズム

生体リズムのなかでも日内リズムは、一日3回の食事摂取と密接な関係がある


肝臓グリコーゲンは摂食による典型的な日内リズムを形成し、肝臓グリコーゲンの合成と分解の双方によって血糖を一定に調節している

 

筋肉のグリコーゲンは、遅筋線維のヒラメ筋では、摂食で増加する日内リズムを示し、速筋線維の腓腹筋と長指伸筋でははっきりとした日内リズムが認められなかった

 

ヒラメ筋グリコーゲン合成のピークは、肝臓グリコーゲン合成ピークより早かったことから、肝臓と筋肉では、グリコーゲン合成のメカニズムが異なっていると考えられる

 

 

【摂取する糖質によるグリコーゲン合成の差異】

空腹や激しい運動により枯渇したグリコーゲンは、どのような種類の糖質の摂取がグリコーゲン回復に効果的であるのか

 

肝臓のグリコーゲンは、グリコーゲンの基質であるブドウ糖および2糖類の麦芽糖を投与しても低値のままであるが、

砂糖の投与により、著しい合成増加が認められた。

 

砂糖の構成単糖類であるブドウ糖と果糖を1:1の割合で混合したものを経口投与すると、砂糖より低いがブドウ糖麦芽糖よりも有意に高値を示した

 

肝臓のグリコーゲン回復には、ブドウ糖と果糖の組み合わせ、さらに2糖類の形状で摂取することが生理的に重要であると考えられる。

 

【脳と砂糖】

疲労やストレスが蓄積すると、和菓子などの甘い物が欲しくなる。これはストレスを解消させる脳の活力源である糖質が不足している状態である。

 

糖質は脳にとって良質のエネルギー源であり欠かすことのできない重要な栄養素である。

 

脳は、砂糖や主食に多い糖質の材料であるブドウ糖を利用する。

 

脳が消費するエネルギー量は、他の臓器と比較してかなり大きく、脳の重さは体重の2%程度であるが、そのエネルギー消費量をブドウ糖で換算すると一日当たり120gである。

1日のエネルギー消費量として体全体の18%、ほぼ5分の1を占める。

 

疲労やストレスによって、血糖が低下すると脳へのブドウ糖は不足する。脳のエネルギー不足つまりガス欠になると、体の中枢機能が低下し、記憶力や集中力の低下が起こる。

砂糖は注意力を維持する栄養素の1つであることを示唆している。

 

また、ストレスによるイライラ解消には精神安定ホルモンであるセロトニンが大切である。

セロトニンは、脳の松果体必須アミノ酸であるトリプトファンから合成される。

 

トリプトファンは、他のアミノ酸が増加すると競合しやすいため、脳内に運び込まれる量が少なくなる。

脳でのセロトニンレベルを上げるためには、トリプトファンの摂取だけでなく砂糖を摂取することが有効である。

砂糖の摂取でインスリン分泌が高まると、トリプトファンは取り込まれやすくなる。

 

糖質の摂取はトリプトファンの脳への取り込みを促進し、セロトニン産生を促進する


 脳における砂糖の摂取はエネルギー供給や精神安定において有効であるとされる。

特に砂糖は、でんぷんに比べ消化吸収が早く、インスリン分泌も程々に高いことから、短時間の疲労回復やストレス解消に有効である。

昔からの間食の習慣や疲労時の甘い和菓子の摂取は、脳の機能活性や精神安定を促す上で利にかなっている。

 

 


また、朝食での糖質摂取も1日のスタートにおいて不可欠である。

生活の夜型化やダイエット目的などで20代前半の1人暮らし女性の約30%が朝食抜きである。

睡眠中は1日の中で最も体温が低く、心拍数も少ないが、この間も肝臓にグリコーゲンという形で貯めておいたエネルギーを消費しており、目覚めた頃にはほとんど使い切っている。

そのため、朝食を食べて、まずは脳の働きに大切なエネルギーを補給しなければならない。
朝食抜きでは、脳の働きも鈍く、しかも空腹感がいらいらを募らせ、集中力も低下する。
従って、朝食で糖質をしっかり摂取し1日スタートすることは、勉強や仕事がはかどるための1番のポイントである。

 

【砂糖と飲酒】

飲酒時の食事は、タンパク質・脂質に比べて糖質の摂取が少ない。

▶︎実験

普通食・低糖質食・低脂肪食にアルコールを一定量与えたラットの実験では、低糖質食つまり高脂肪・高タンパク質にすると肝臓の中性脂肪γ-GTP(アルコール性肝機能障害の指標)、CYP2E1(肝薬物代謝酵素系)のいずれも上昇した。

このことから飲酒の大量摂取による肝障害は、砂糖などの糖質の摂取で予防効果があると考えられる。

γ-GTP(アルコール性肝機能障害の指標)、 CYP2E1(肝薬物代謝酵素系)


 疫学の調査研究では、飲酒による血清γ-GTPの上昇は砂糖や果物類の摂食量で抑制される。

砂糖の摂食量を変えてみると、少量の砂糖ではその理由は不明であるが、飲酒量に比例して血清γ-GTPが増加した。

砂糖は飲酒による肝障害の防止に効果がある。

果物はそのものの摂取によって血清γ-GTPを低下させるが、飲酒による増加を抑制する効果がなかった。

 

【砂糖による水分補給と競技力アップ】

 水は体内のいたるところに存在し、成人男性では体重の約60%を占めている。

 

体内の水は細胞の形を保つ

肌にみずみずしさを与えている。年をとると肌のみずみずしさがなくなるのは、体内の水分量が減少するためである。また、

水は物質を溶かす

血液をサラサラにして、いろいろな物質を体内のいたるところに運んでいる。
体温の調節する

気温が高くなったり、激しい運動をすると、体温の上昇を防ぐために、体から体熱を含んだ水(汗)がでる。汗には、体内の熱を体表面に運び、蒸発熱とともに体外へ放出する働きがあり、体温調節に役立っている。

体の水不足は汗の量を少なくして体熱の放散を悪くし、体温を上昇しやすくする。

 

例えば

自動車は冷却水が不足すると、エンジンの温度の上昇を抑えられなくなって調子を悪くし、動かなくなる。同じように体の水分が10%も失われると、著しく体調が悪くなり20%の損失になると、生命維持も困難になる。


スポーツ

水分補給は運動中の体温上昇と脱水症状を防止するだけでなく、血行をよくしてスポーツ競技力を高めることが可能である。水分の体内への吸収率を最大にするスポーツ飲料の糖分濃度は4~8%である。

特に単糖類のグルコースや果糖ではなく、2糖類の砂糖が優れており、スポーツ選手の致命傷になる下痢の予防にも効果的である。

また、砂糖に含まれる果糖は、適量であれば運動中において持久性運動に不可欠な脂肪組織からの脂肪動員を高めるのでスタミナアップに貢献できる。
 また、運動中の水分補給のために、あらかじめ胃の中を空っぽにしておく必要があり、競技30分前に4~8%の砂糖入りスポーツドリンクが最適である

 

【要約】

 摂取した糖質は、肝臓と筋肉にグリコーゲンとして貯えられる。肝臓のグリコーゲンは、血糖を常に一定に保ちながら、肝臓の様々な代謝と機能を維持する生理的役割を果たしている。筋肉のグリコーゲンは、血糖維持には全く寄与せず、主に筋線維の活動に利用されている。このことから、健康管理と生活の質を高めるために、肝臓および筋肉のグリコーゲンは、生理的必要性に素早く応じられるように日頃から高く維持し、絶食や激しい運動などで枯渇したグリコーゲンは、速やかに回復することが重要である。
 肝臓と筋肉のグリコーゲンおよび体脂肪と代謝リズムと摂食を調べた結果、血中生化学成分の変化に連動して、肝臓と筋肉のグリコーゲンおよび体脂肪は摂食サイクルに依存した日内リズムが認められた。
 次に、肝臓グリコーゲン合成において、摂取する糖質の種類によりグリコーゲン合成が異なり、特に砂糖に対する著しい合成増加が認められた。
 砂糖は脳の働きを高め、ストレス解消に効果があり、アルコールの飲みすぎにもよく、しかもスポーツ選手の競技能力向上と熱中症の予防にも適している。